第10話
第9話では、商標登録出願について説明しましたが、今回は審判について説明します。
特許、意匠、商標の各出願をして拒絶査定されても、拒絶査定不服審判を請求できます。この拒絶査定不服審では、特許、意匠、商標のいずれも約7割前後で請求が成立します。この拒絶査定不服審判でも拒絶審決された場合は、知的財産高等裁判所に審決取消訴訟を提起できますが、約8割前後は審決が維持されます(https://www.jpo.go.jp/resources/report/sonota-info/document/panhu/shinpan_gaiyo.pdf)。このことから、権利化の意思があるのであれば、審査段階で拒絶査定されても、予算が許すならば、拒絶査定不服審判を請求する意義があります。
裁判では、第一審で敗訴した場合、第二審(控訴審)を提起する際に、代理人を変えることも珍しくありません。
産業財産権(特許、意匠、商標)の出願における審査は、いわば第一審であり、拒絶査定不服審判は第二審です。審査で拒絶査定されて審判を請求する際、代理人を変えるという選択肢もあります。ただし、拒絶査定不服審判の請求期間は、査定の謄本の送達があった日から3月以内なので、代理人を変える場合は、査定の謄本送達後、速やかに新しい代理人に依頼する必要があります。
特に、特許出願の拒絶査定に対する審判請求では、審判請求と同時に特許請求の範囲等の補正をすることができます(特許法17条の2第1項4号)。この場合、前置審査で審理されるので(同法162条)、補正の要否を検討するために、査定の謄本送達後、速やかに新しい代理人に依頼する必要があります。