第1話

 弁理士として独立開業し、何でも自分でやるようになると、他の特許事務所の粗がよく見えるようになります。

 そこで、Webサイトを通して分かる特許事務所のリアルな姿を記します。

 Webサイトのドメインには、“.com” “.jp” “.co.jp”等があります。

 “.com”は、“commercial(商業)” を表すドメインです。

 “.jp”は、“japan(日本)”を表すドメインです。

 “.co.jp”の“.co”は、“commercial(商業)”を表すサブドメインであり、“.co.jp”は日本で登記された会社を表すドメインです。

 特許事務所は、産業財産権(特許、実用新案、意匠、商標)に関する特許庁への出願代行等を主な業務とする弁理士事務所です。その特許事務所のWebサイトのドメインに、“.com”や“.co.jp”を使用するのは、不適切です。

 Webサイトのドメインに“.com”や“.co.jp”を使用している特許事務所は、所長(代表弁理士)がITに疎く、無知無教養なIT技術者にWebサイトの制作を丸投げしていると解されます。そのような特許事務所に、特にIT系の特許出願を依頼しても、質の高い出願業務ができるとは思えません。

 さらに、複数の言語に対応したWebサイトを有する特許事務所もあります。複数の言語に対応したWebサイトを作成する際、ドメインの次に各言語を表すサブディレクトリを配置し、そこに各言語コードを記載します。言語コードは、ISO-3166で定められており、日本語コードは“ja”なので、日本にある団体等が作成する日本語Webサイトは、“.jp/ja”を用います。

 ところで、言語コードとは別に、各国を表す国コードがISO-639で定められています。日本の国コードは“JP”です。

 特許事務所のWebサイトの中には、言語コードと国コードを混同し、日本語Webサイトのサブディレクトリに“jp”を記載しているところもあります。

 日本の場合は、言語と国が1対1に対応するので問題ありませんが、世界ではそのような国ばかりではありません。例えば、英語を公用語とする国として、イギリスとアメリカがあります。英語の言語コードは“en”ですが、イギリスの国コードは“GB”であり、アメリカの国コードは“US”です。

 複数言語に対応したWebサイトを作成する際、言語コードと国コードを混同しているのは、作成者が無知無教養であることを示すと共に、その作成を指示した者も同様に無知無教養であることを示しています。特許事務所であれば、作成者がその事務所のシステム要員又は外注業者であり、指示者が所長ないし代表弁理士です。そのような特許事務所に、外国出願を依頼しても、質の高い出願業務ができるとは思えません。