第30話

 法制度について解説します。法制度には判例法と制定法があります。判例法は英米法とも言います。制定法は大陸法とも言い、ローマ法がその起源です。

  判例法制度は、先の裁判における判断が後の裁判における判断を拘束する先例拘束が特徴です。

 制定法制度における法源は制定法です。判例は制定法を補完するものであり、先例拘束性はありません。

  日本は江戸時代までは判例法制度でした。奉行所で裁判を行う際、過去の裁判記録を調べ、同種の事案に準じた判断をしていました。

 世界の多くの国は、ヨーロッパ列強によって植民地支配されていた時代があります。そのような国では、独立後、国を近代化する際、旧宗主国の影響を受け易くなります。

 日本は、植民地になったことがないので、明治新政府が新たな国家体制を構築する際、ヨーロッパの主要国(イギリス、フランス、ドイツ)を視察し、自らの意思で各国制度を取捨選択して、制定法制度を採用しました。そのような歴史を有するのは、世界中で日本のみです。

 その日本における「判例」とは、「他の事案に適用すべき法律的見解を含んでいる」判決をいいます(最高裁昭和26年(あ)第3474号同28年2月12日第一小法廷決定・刑集第7巻2号211頁)。

 日本では「判例」に先例拘束性はなく、「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」(日本国憲法76条3項)。「憲法第76条第3項の裁判官が良心に従うというのは、裁判官が有形無形の外部の圧迫乃至誘惑に屈しないで自己内心の良識と道徳感に従うの意味である。」(最高裁昭和22年(れ)第337号同23年11月17日大法廷判決・刑集第2巻12号1565頁)。